はじめに
2023年3月に技適付きでついに発売になった「RapberryPi Pico W」の概要や、Pico Wでできることについて解説します。以下の疑問の解決になればうれしいです。
- Raspberry Pi Pico Wってどんなもの?
- 使い方はむずかしい?
- どんなことができる?
~ この記事の内容 / Contents ~
RaspberryPi Pico Wってどんなもの?
RaspberryPi Pico W は、イギリスのRaspberry Pi財団が独自に開発した「RP2040マイコン」を搭載する開発用ボードです。
もともと「RaspberryPi Pico」(ノーマルPico)というボードが先に発売されて大ヒットしていましたが、無線機能がついていないことがネックとなっていました。
今回紹介する「RaspberryPi Pico W」はそのPicoとの互換性を最大限維持しつつ、待望のWi-Fi・Bluetooth機能が追加されたモデルです。
OSが搭載されていないので、センサーやモーターなどの機器を直接プログラムで動かすことができ、Wi-Fi・Bluetoohを使って、スマホやパソコンなどと簡単に通信できるようになっています。
以下はRaspberry Pi財団公式の「RaspberryPi Pico W」の紹介動画です。
RaspberryPi Picoの種類
RaspberryPi Picoは半田付け、無線機能のありなしで、以下4つの種類が存在します。
RaspberryPi Pico
最初に登場したモデルです。他の機器やLEDなどとつなぐ場合は、外周部分の穴にピン(ヘッダ)や配線を半田付けする必要があります。
有線でのいろいろな通信には対応していますが、Wi-FiやBluetoothといった無線通信には対応していません。シリーズの中で一番シンプルで一番安いモデルです。
このブログでは「Picoの使い方」も解説しています。興味のある方は、こちらから記事一覧をご覧ください。
RaspberryPi Pico H
上記で紹介した「Pico」にピン(ヘッダ)を半田付けしたモデルです。「Pico」と違うのは「最初から半田付けがされているか、いないか」の違いだけで、スペックなどは全く一緒です。半田付けが苦手な方や、小さな子供がいるなど、半田付けの作業が難し環境の方におすすめできるモデルです。
RaspberryPi Pico W
前述の通り「Pico」にWi-Fi・Bluetoothを追加したモデルです。マイコンのスペックアップなどもありませんが、その分、互換性が最大限維持されており「Pico」用に作られたほとんどのプログラムを「PicoW」でも動かすことができます。
このブログでは「Pico Wの使い方」も解説しています。興味のある方はこちらから記事一覧をご覧ください。
RaspberryPi Pico WH
「Pico W」にピン(ヘッダ)を半田付けしたモデルです。「Pico W」と違うのは「最初から半田付けがされているか、いないか」の違いだけです。
Pico Wのスペック
RaspberryPi Pico Wの主なスペックは以下の通りです。
項目 | 内容 | 備考 |
搭載マイコン | RP2040 | |
周波数 | 133MHz | デュアルコア |
メモリ | 264KB | チップ上のSRAM分 |
2MB | ボード上の拡張Flashメモリ分 | |
入出力 | ×26 (3つのピンでアナログ入力が使えます) | |
UART | ×2 | |
SPI | ×2 | |
I2C | ×2 | |
USB | ×1 | |
PIO | ×8 | |
無線通信 | Wi-Fi | 2.4GHz IEEE 802.11b/g/n |
Bluetooth | Bluetooth5.2 | |
サイズ | 21mm × 51mm | |
重量 | 2g | |
入力電圧 | 1.8V ~ 5.5V |
※ RaspberryPi Pico Wのデータシートより抜粋
Pico Wは誰が作っている?
RaspberryPi Picoシリーズは、イギリスの非営利団体である「Raspberry Pi財団」で開発・販売されています。
Raspberry Pi財団は、2009年にイギリスで設立された非営利団体で、初等・中等教育におけるコンピュータ科学教育の普及を目的として、RaspberryPi Picoを含む、安価なシングルボードコンピュータである「Raspberry Piシリーズ」を開発・販売しています。
Pico Wでどんなことができる?
無線で使う気象観測大や、ロボットカーなど、様々なプロジェクトが公開されています。
日本では技適の取得で海外より半年以上発売が遅れたため、海外の情報がメインになりますが、日本でも売り切れになるなど、Pico Wの注目度はかなり高いです。国内でも面白いプロジェクトがどんどん出てくると思うので、随時更新していきます。
スマホ操作のロボットカー
Pico W の無線LAN機能を使って、スマホ(ブラウザ)で操作するロボットカーです。
無線気象台(Wireless Weather Station)
BME280というセンサーをPico W につなげて、温度・湿度・気圧をブラウザに表示する、無線の気象台を製作しています。
ChatGPT API
Pico WとChatGPT APIを使って、ディスプレイ上にAIとのやり取りを表示したり、人感センサを検知した際にAIがあいさつしてくれるデバイスを製作されています。
プログラミングは難しい?
ひと昔前の「マイコン」のプログラミンに比べて、RaspberryPi Picoのプログラミングはすごく簡単になりました。
Picoでは人気のプログラミング言語「Python」や、イマドキの開発環境「Visual Studio Code」が使えます(参考記事)。昔のマイコンは専用の有料ツールやC言語が必要でしたが、Picoは無料で、人気のPythonを使ってプログラミングすることができます。作り方もPC上のアプリを作る感覚にかなり近いです。
このブログでも「LEDの使い方」「ディスプレイの使い方」などの使い方や、プログラムのコードを解説をしており、コピペするだけでPicoを動かすことができます。
上記の記事を見ていただければ「買ったけど何もできなかった」とはならないので、ぜひ気軽にRaspberryPi Picoをはじめてみてください。
まとめ
RapberryPi Pico Wの概要と、Pico Wでできることについて解説しました。参考になればうれしいです。
RaspberryPi Pico W をはじめてみよう
このブログではPico/Pico Wの使い方についても解説しています。この記事を読んで興味をもたれたら、ぜひ以下の記事を参考にPico W を使ってみてくだい。
配線はUSBのみ、プログラムもコピペでPico Wを動かすことができます。
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